当該年度に、以下の研究実績をあげた。まず、戦前の富裕層の分析をおこなうために、「家計調査集成」の家計データを年代別に分類し、次にそれぞれの年代ごとに、世帯主の職業別に分類し、世帯類型別のファイルを作成した。このなかから、「夫婦世帯」と夫婦と子供が一人いる「3人世帯」を抽出し、それぞれの属性別に家計データファイルを作成した。次に「単身世帯」を基準にして、性別・年齢別の家計データを作成し、成人男女の年齢別の「消費単位」を算出した。これを用いて「夫婦世帯」と「3人世帯」それぞれの世帯を「消費単位」あたりに換算した。次に現代人の中流階層の分析をおこなうために、総務庁統計局の実施している「全国消費実態調査」の平成6年度の家計データを取得し、戦前の家計データと同様に、まず世帯主の職業別に分類し、世帯類型別のファイルを作成した。次に「単身世帯」、「夫婦世帯」と「3人世帯」を抽出し、それぞれの属性別の家計データファイルを作成した。そして「単身世帯」を基準にして、成人の性別・年齢別の「消費単位」を算出した。これらの「消費単位」を収入階層別に分類した世帯にあてはめ、わが国に於ける戦前の富裕層の消費構造は現代の中流階層の消費構造を比較した。同様にアメリカの米国商務省国勢調査局が発行しているセンサス報告書の家計データを取得し、まず年代別に分類し、収入階層別のファイルを作成した。わが国の家計データから算定した「消費単位」をアメリカの世帯にあてはめ、戦前の富裕層と現代の中流階層の「夫婦世帯」と「3人世帯」の消費構造を比較した。これらからわが国とアメリカの戦前の富裕層と現代の中流階層の比較をおこなった。
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