研究概要 |
血圧上昇抑制作用があるとされているギャバロン茶の中心的成分と考えられるγ-アミノ酪酸(GABA)が、ラット体内でどのように代謝されているのかを明らかにすることを目的に実験を行った。ギャバロン茶を製造し、そのカテキン、カフェイン、アミノ酸を分析した。ギャバロン茶は煎茶と比較し、嫌気処理をすることにより、GABA、アラニン含量が増加し、一方アスパラギン酸、グルタミン酸の減少が認められた。これは、グルタミン酸、アスパラギン酸を基質としたカルボキシラーゼによる脱炭酸反応の結果であると考えられる。ギャバロン茶を極性の違う溶媒で分画し、ラットに投与したところ、BuOHで分画した残渣に最も抑制作用が認められた。これより溶媒では分画することのできないかなり水溶性な物質が血圧上昇抑制に関与しているものと考えられた。次いでこのBuOH分画残渣を透析し、さらにその外液をSephadexG-10でゲル濾過し、それぞれの画分に血圧上昇抑制が認められるかどうかを調べた。 また一方では、ラットの肝臓中のGABAの代謝回転を調べるために、in vivo,in vitroの両面から実験を行い、検討した。in vitroでは、肝臓ホモジネートにGABAを添加すると、時間の経過とともにGABAは増加していき、in vivoにおいては、GABAを経口投与すると、投与1時間後に増加し、5時間後にはもとの値にもどり、反応は速やかに行われていることが認められた。^<14>C-GABAを用いたin vivoにおける肝臓^-、脳中のGABAの代謝は、時間とともに減少し、その代謝物としてGCおよびGCMSを用いて分離同定を試みたところ3-メチループロピオン酸と推定される物質を同定した。 今後、本物質およびその誘導体を用いて血圧上昇抑制試験等を試みたい。
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