研究概要 |
身体運動の何が耐糖能改善に寄与しているかについては,いまだ不明な点が多い.先行研究では,筋のフォスファゲン濃度を低下させるβ-guanidinopropionic acid(β-GPA:creatine analogue)を投与すると,筋グリコーゲンが著明に増加している状態でも,グルコース取り込み能を有意に増加させることが明らかになっている.本研究は,フォスファゲンの多寡がインスリン作用に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,β-GPAを摂取したラットを利用して,筋のフォスファゲンを低下させた筋のグルコース取り込み能の亢進について検討した.その結果,インスリンクランプ法を用いたin vivoのインスリン反応性はβ-GPA摂取ラットでは有意な高値を示したが,インスリンレセプターとの結合能を示すと言われるインスリン感受性は上昇を示さなかった.また,インスリンレセプターおよび糖輸送担体(GLUT-4)のmRNA(Northern blotting法)には差異は認めれらなかったものの,GLUT-4のタンパク量(Western blotting法)は,β-GPA摂取ラットで有意な増加を示した(p<0.05).一方,インスリンレセプターは,通常2本のバンドがみられるが,β-GPA群は,バンドが1本しかみられなかった.この結果は,インスリンクランプ法によるin vivoの結果結果とおおよそ合致しており,インスリンレセプターのリン酸化と関連しているものと考えられた.なお,詳細を追実験を行って検討している.
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