研究概要 |
スポーツの指導場面においては,技術を指導者が主観的な評価をし,あいまいな表現で選手や生徒にそれを伝えていることが多い.スキーの場合,近年ビデオ撮影を用いて指導を行う事も多くなってきているが,この際も指導者の主観に頼るしかなく,しかも,実際にスキー運動が終わってからでないとそれを見ることは出来ない. また,スキー技術の分析は多くは,これまで画像解析で行われている.これは,スキーの特性として1ターンの動作にも広範囲の移動距離を必要とするため,センサー類をつけて実験を行うことが困難であったためであると考えられる.そして,画像分析を行うためには多くの時間と労力を必要とするので,リアルタイムで結果を得ることが出来ないため,現場での指導に直接用いることは出来ない. そこで本研究では,スキー動作において最も重要であると考えられる膝関節角度を,電気角度計を用いて直接測定し,そのデータを,コンピュータ内部に想定した下肢のモデルに適用することにより,従来,画像分析からしか得ることが出来なかった情報を素早く表示することを可能にすることを可能にした. これにより,被指導者にリアルタイムでターン中の自分の下肢動作をフィードバックすることでターン技術の学習を行うことが出来た.そして,その学習課程についても同時に記録されるため,技術習得に関する必要な情報がどのようなものであるかについて検討を加え,技術指導のポイントを探ることが出来る.
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