1、本研究は学校現場において小児成人病を予防するための実践的方法を検討することを目的に、小児成人病の危険因子と日常生活習慣または体力要素との関係を分析した。 2、対象は、岡山大学教育学部附属中学校の生徒(男子:100名、女子:100名)であり、測定項目は、小児成人病の危険因子として体脂肪率(インピーダンス法)、血圧、加速度脈波などを、日常生活習慣として食習慣、運動習慣(それぞれ質問紙法による)などを、体力要素としてLTの測定、文部省スポーツテストなどを実施した。 3、小児成人病危険因子については、体脂肪率が男子15.9±5.9(%)、女子24.6±8.6(%)であり、肥満と判定された生徒は男子11.2%、女子9.8%であった。血圧(SBP/DBP)は男子119.2±12.3/64.1±8.6(mmHg)、女子117.3±14.3/64.8±8.9(mmHg)であり、高血圧または境界域高血圧と判定された生徒は男子3%、女子4%であった。加速度脈波(d/aで評価)は男子-0.140±0.147、女子-0.212±0.157であった。 4、食習慣については、総摂取カロリーに対する脂肪摂取の比率が平均26.8%と高く、栄養素ではカルシウム摂取量が栄養所要量の約90%と低かった。また、運動習慣については、週当たりの運動時間が180分未満の生徒が全体の60%と、日常的に運動を実践している生徒が少なかった。 5、体力要素としては、LTが男子190±19(m/min)、女子165±14(%)であり、LTとスポーツテストの総合点は有意な正相関を示した。 6、週当たりの運動時間が少なくLTが低い生徒に、肥満や血圧が高い者が多い傾向が観察された。 7、以上から、学校現場においても運動の実践を中心とした健康教育の必要性が示唆された。
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