ストレス社会の弊害が言われ、学校でも保健室、相談室の役割がクローズアップされてきている。そこで先に、保健室での事例を多くの教師が共有すべく、データベース(DB)システムを開発したが、文字情報のみを扱っていたため、保健室事例全てを共有することはできなかった。そこで、本研究では、相談室の業務を統合的に行えるシステムの開発を目指し、まず、箱庭療法を扱えるシステム、すなわち、箱庭をコンピュータ上に実現し、箱庭を作るべく操作した物体(家、木、人など)の操作過程を履歴としてとれるシステムを開発した。その特色は、 (1)箱庭療法がコンピュータ上で実施できる(つまり、立体の操作がコンピュータ化できる) (2)その履歴(所要時間も含む)がとれる (3)履歴データは、動画としても3次元座標データとしてもデータベース化できる (4)本システムは個人情報の保護が特に重要であることに鑑み、データのセキュリティが考えられている であった。(4)について、養護教諭や看護婦が児童・生徒や患者のプライバシー保護にどのように対処しているか、調査・分析を行った。そして、その結果を、使用する教諭が知ってもよいレベルの情報のみを扱えるようなふるまいを行うモデルとして構築し、システムの基本モデルとした。(1)(2)(3)について、システムの実行部は、マウスで箱庭の物体を自由に配置できるようにし、さらにその軌跡を3次元座標データとして保存できるようにした。保存データはプレイバックでき、また、どの物体が一番よく使われたか(長く扱われたか)など、統計的数値も出せるようにした。しかし、システムの実際の使用には至っておらず、(3)の特色のDBとしてのデータは集まっていない。今後の課題として、本システムを実際の使用に供し、システムの効果を検討していきたい。
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