研究概要 |
本研究により,以下の成果を得た. 1.従来の計算機に支援されていないインフォーマルインタラクションを含む作業の行動分析を実施した.この分析結果より,作業者の発話行動だけではなく,黒板やメモ紙などを使った描画活動を中心とするインタラクションも,インフォーマルインタラクションでは重要であることがわかった.現在の技術では,連続発話音声の処理が困難であるため,描画活動を中心とした支援がより現実的であることがわかった. 2.上記のような描画活動を支援するための計算機プラットフォームとしての,メモ紙に該当するペン型コンピュータ,および黒板に該当するボードコンピュータを実際に利用することで,従来の描画活動の代替となるかどうかを調査した.その結果,十分ではないにしても,ある程度の代替になることがわかった. 3.描画を中心としたインタラクション過程を構造化するために,その過程の内容的な区切りを自動的に判定するための基礎実験を実施した.その結果,画面の切り替え,描画,削除,図の指示などのペン型コンピュータでも自動的に認識できる範囲の情報で,人間の直感的な議論の区切りの近似を得ることのできる方法論を構築できた. 4.上記の成果で得られた人間の直感的な議論の区切りの近似区分をもとに,共同作業者間の認識を不一致を検出する手法を提案した.本手法は,H.ClarkやR.Kraussなどが行ったreferential taskにおける会話に注目した手法を参考にしている.具体的には,提案した話題の言い直し(Refashoning)を反映する活動を,機械的に検出できる範囲の描画作業から検出できることを実験的に設定した共同作業の分析から明らかにできた.このRefashoningは,認識の不一致を反映する事象であるため,インフォーマルインタラクションにおける計算機支援の基盤と成りうる.
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