研究概要 |
申請年度において,超並列計算機向きの相互結合網に関する研究を行った. 大規模かつ複雑な結合形態およびハードウェア構成を持つ相互結合網の能力を詳細に調査するために,相互結合網シミュレータINSIGHTを開発した. 補助金によりワークステーション一式を購入し,開発したシミュレータを利用して,これまでに提案されている様々な超並列向き相互結合網のシミュレーションを行った.具体的には,既存の様々な超並列向きの相互結合網について,各相互結合網のトポロジに対して,フロー制御方式,パケット長,データ転送周波数ならびにルーティング・アルゴリズムについて変化させた場合の性能評価を行った. 評価対象とする相互結合網は数千台から約6万台のプロセッサ要素を結合する規模のものとし,結合形態は静的網を基礎に,自由度の高いMIMD型の並列計算機に対応できるよう,ハードウェアの諸機能を非同期動作モード,分散制御方式およびパケット交換方式とした. 評価項目としてはプロセッサ要素数の増加に伴うネットワーク遅延時間,通信遅延時間,ノードにおけるル-タの負荷およびネットワークの負荷の変数について測定を行った.さらに,通信頻度の差異に対するネットワーク遅延時間および通信遅延時間の変化についての調査も行い,ハードウェアの諸機能や性能,ならびに並列プログラムの通信パラメータを考慮した種々の相互結合網の性能評価を行うことができた. その結果,大規模な相互結合網では,プロセッサ要素とネットワークの性能のバランスが,アプリケーションの実行時間に大きな影響を与えることを確認した. 本研究では,相互結合網シミュレータを用いることで現実的な評価結果を得ることができ,大規模な相互結合網の設計に際して大きな指針となることが確認できた.
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