人間の視覚パターン認識においては、視覚野の後部に位置する下側頭皮質中に個々のパターンに反応する神経細胞が物の形を識別する際に決定的な役割を果たしていることは近年の脳神経科学の研究によって明らかになっている。本研究は、このような人間のパターン認識機構をモデル化し計算機上で実現することにより、知的な手書き文字認識アルゴリズムを確立することを目的としている。 当初の研究計画に沿って研究を進めた結果、以下の研究成果が得られた。 ・下側頭皮質中に神経細胞が存在し個々のパターンに反応する認識機構をモデル化し、排他的学習によるニューラルネットワークのアーキテクチャを提案した。具体的には、ネットワーク中の個々のノードが神経細胞に対応し、排他学習により、1つのノードが1字種に対応するモデルを構築した。 上記の排他学習モデルを日本最大の手書き漢字データベースに適用し、認識実験を行った結果、95%以上の認識率がえられ、その有用性を実証できた。 上記の研究成果をまとめ、雑誌論文欄で記載した通り電子情報通信学会論文誌などを通じ公表を行った。
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