13.56MHzの高周波放電プラズマプロセス系において、電子温度がイオン温度よりはるかに高く、また電子の質量がイオンの質量よりも小さいために電子移動度はイオンより十分大きい。その故、定常的な電流が流れない構造になっている電極であれば、高周波電極表面に大きなシース電圧が形成し、高周波にほとんど追随できないイオンはシース電位によって加速されて高周波電極に入射する。シース電圧が大きすぎるとイオンの衝撃で、基板表面に損傷が生じる、或いは電極からスパッタが生じて汚染源となる。 本研究では、永久磁石リングを用いて高周波電極表面に平行な磁場をかけ、磁場中では荷電粒子はラ-マ-運動を行い、磁力線を横切って電極へ入射する数は減少するはずであるが、この効果は主に電子の方に働き、ラ-マ-半径の大きいイオンはあまり影響を受けない。その結果電子の実効的移動度が減少していることになり、シース電圧は小さくなる。高周波電極表面に入射するイオンのエネルギーも小さくなるので、高周波電極からのスパッタリングを軽減することができる。実際、高周波電極表面軸方向磁場を100Gから400Gにすることによって高周波電極からのスパッタリングを0.8%まで低減することができた。この結果、大面積均一かつクリーンなプラズマを生成することに成功した。
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