高周波誘導熱プラズマは大気圧のガスに高周波電磁場を印加したもので、一万度以上の高温を有している。高周波熱プラズマには電極が存在していないので、クリーンな高温熱源であること、さらに反応雰囲気を自由に選択できることから化学反応に利用できる。 本研究では、反応性高周波熱プラズマにより都市ごみ焼却灰等の廃棄物を処理することにより、有価金属(ケイ素、アルミニウム等)を回収し、回収した有価金属を有効利用するための基礎的知見を得ることを目的とした。 まず既存の直流プラズマ反応器を用いて、アルミナとシリカ混合物に対して水素プラズマ処理、またはアルゴンプラズマ処理を行った。処理中のプラズマ分光分析、処理後の試料のx線解析等を行った。その結果、アルゴンプラズマではシリカを還元したシリコンを優先的に回収でき、水素プラズマではシリコンのみならずアルミナを還元したアルミニウムを回収できることがわかった。 さらに高周波誘導熱プラズマにアルミニウム粉体を導入し、プラズマ中で酸化を行うことにより、アルミナ超微粒子を生成する実験を行った。その結果、粒径100nm程度の超微粒子を安定に生成することができた。よって高周波誘導熱プラズマを用いた粉体処理装置が完成したので、前記の直流プラズマの研究成果をもとに、今後は高周波誘導プラズマと粉体との反応機構を調べる。
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