高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価のための基礎研究として、ベントナイト緩衝材の主たる構成粘土鉱物であるモンモリロナイト中のCs^+およびSr^<2+>イオンの見かけの拡散係数を測定した。乾燥密度1.0〜1.8×10^3 kg m^<-3>に圧密したNa型モンモリロナイト中での見かけの拡散係数は、拡散温度278〜323kにおいて、Cs^+イオンで1.9×10^<-13>〜2.1×10^<-11>m^2 s^<-1>、Sr^<2+>イオンで1.6×10^<-12>〜2.1×10^<-11> m^2 s^<-1>であった。一方、見かけの拡散係数の温度依存性から求めた拡散の活性化エネルギーは、Cs^+イオンで32.1〜52.8 kJ mol^<-1>、Sr^<2+>イオンで17.3〜30.1 kJ mol^<-1>となり、一部の点を除いて、自由水中のイオンの拡散の活性化エネルギーと異なった。また、両イオンとも、活性化エネルギーに明らかな乾燥密度依存性が認められた。こうした現象は、従来の細孔拡散モデルでは説明できないものであり、乾燥密度の増加に伴う拡散機構の変化あるいは収着挙動の変化を示唆するものと考え、検討を加えた。
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