本研究により、筑波大学プラズマ研究センターのタンデムミラー型プラズマ閉じ込め装置ガンマ10において、時間空間分解能をあわせもつ大口径プラズマ用の真空紫外分光器を用いてのプラズマからの不純物イオンスペクトルの放射率の空間分布の時間変化を求めることが可能となった。これにより、放射損失によるプラズマのエネルギー閉じ込めの悪化をもたらす不純物の発生機構の解明に役立つ情報が得られるようになると考えられる。 これまで、大口径プラズマ用の真空紫外分光器は、時間空間分解能をあわせもつものはほとんどなかった。本研究で使用した分光器は、観測波長15nm〜105nmの波長範囲で、時間分解能が最高で1msというものである。しかし、これまではインスタントカメラで測定していたために、データ処理に時間がかかること、時間変化を調べるためにたくさんのプラズマショットが必要であるなどの問題があった。そこで、高速カメラを使用した画像撮影システムを構築し、データ処理を高速化し、1プラズマショットで時間変化を追えるようにした。また、高エネルギー研究所の放射光施設に於いて、分光器の相対波長感度較正を行い、測定したスペクトル間の相対強度を求められるようにした。この較正データを使用して、測定した2次元画像データから、放射率分布の2次元イメージを得ることができるようにした。こうして、ガンマ10における真空紫外分光測定法を確立した。 本研究の結果、真空紫外領域における主な不純物スペクトルは、酸素イオンと炭素イオンあり、不純物が電子温度の上昇とともにプラズマの中心から壁方向に向かって広がっていく様子が観測された。
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