ライダー(レーザーレーダー)は、アクティブなセンターであり、大気消散の空間分布が出せる、きわめて有効な大気環境計測装置である。本研究は、高精度・高速で大気のライダー計測を行うことにより、そこから大気ゆらぎに関する情報を得て、ゆらぎが大気環境計測に与える影響を明らかにすることを目的としている。 現在までに本研究では次のような成果が得られた。 1.既存のライダーシステムにスキャナ装置を取り付け外部制御を行うことにより、2次元スキャニングシステム付きライダーを開発し、エアロゾルの空間分布の観測を行った。 2.半導体レーザーを用いての高分解能で高速繰り返しの可能なライダーシステムの試作を行い、試作されたライダーシステムの性能評価を行った。 3.ライダー信号から大気のゆらぎ成分を摘出するアルゴリズムを提案し、大気ゆらぎのスペクトルを観測する手法を開発した。これについては信号中のノイズの除去が次の課題である。 4.多波長ライダーシステムによる大気情報の定期的観測を行い、長時間スケールでの消散係数分布の変化を調べた。さらに、インテグレーテェッドネフロメータを用いて、地上における大気消散係数の長時間スケールでの変化を観測している。 全体としては大気ゆらぎの観測システムおよびアルゴリズムの開発を行い、それを用いての大気ゆらぎの短・長時間スケールでの計測を行っている。
|