研究概要 |
1.露水の生成量・発生頻度…1996年に67試料の露水が採取されたが、このうち14試料で生成・消滅速度の測定が可能であった。露水の生成速度は平均で17.2g/m^2/h(6.4〜23.3g/m^2/h)、消滅速度は平均で38.0g/m^2/h(10.5〜73.6g/m^2/h)であり、消滅速度は生成速度の2倍以上であった。露発生頻度の解明を試みたが、露は日の出後1〜2時間程度で消滅するために採取が困難であり、露水の生成量・発生頻度を解明するためには採取装置の自動化が不可欠であることが分かった。 2.露水の化学組成…露水を採取後直ちに吸引ろ過した後に、pH、伝導度、主要無機イオンに加え、亜硫酸などの弱酸、無機炭素、有機炭素、アルデヒドの測定を行った。露水の平均pHは5.13(3.81〜7.82)、総イオン濃度は1.87meq/Lであった。露水pHは夏季に最も低いが(平均pH4.24)S(IV)濃度も最も低いことから、これはS(IV)の液相酸化が夏季に促進されたためと考えられた。P&T-ATD-GC/MS法により露水中のVOCを測定したところ、クロロホルム、ベンゼン、1,2-ジククロメタンが検出された(20μg/L以下)、露水は有機塩素化合物によっても汚染されていることが明らかとなった。 3.露水酸性度の支配要因…露水中の各成分濃度は、大気中濃度(ガスとエ-ロゾル)、乾性降下速度、露水量に依存するが、さらに、Ca^<2+>など主にエ-ロゾル由来成分は露存在時間、NH_4^+など主にガス由来成分は採取器設置時間に依存することが明らかとなった。昨年度、露水はS(IV)の液相酸化によって進行することを明らかとしたが、S(IV)の液相酸化触媒であるFeとMnの測定を行ったところ、それぞれ平均濃度で43.4μM、10.7μM含まれていることが明らかとなった。
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