本年度は、ヘム酵素において、酸化反応の活性種となる高原子価鉄錯体を光照射によって、ハム蛋白質活性中心に生成することに成功した。 即ちルテニウムペンダントシオグロビンのルテニウム錯体を酸化的に消光するとルテニウム三価が生じる。この高い酸化力によって、体止状態のヘム鉄(III価)から電子を引き抜くと、高原子価の鉄IV価が生じることを見い出した。また興味深いことに、このシステムは、分子内電子移動が効果的に起こることの重要であり、分子間コントロール実験を同条件で行うと、タンパク質の変性だけで起こることで明瞭になった。高酸化種のタンパク質との反応は、空間と時間が厳密に制御された場合のみ有効に起こることを示す例として重要な意味をもつ。
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