1.本研究部門で開発した抗O-アセチル化ガングリオシドモノクローナル抗体を用い、発現ベクターcDNAライブラリーをトランスフェクト細胞からO-Ac-GD3を発現した細胞をソーティングし、最終的に1つのO-Ac-GD3合成に関連する蛋白をコードするp33H4cDNAを単離した。イムノステイニング法また〔^<14>C〕-Ac-CoAを用いたメタボリックラベリング法により、p33H4をトランスフェクトした細胞にO-Ac-GD3の発現が確認できた。よって、この蛋白をrAGS(rat AcetylGanglioside Synthase)と名称した。 2.rAGSは427アミノ酸からなり、EGF様配列、第5因子や第8因子のホスファチジルセリンと結合すると考えられている部位と相同性を持つ配列が見つかっている。rAGSのmRNAは2.0kbの単一のバンドとして認められ、その発現は、脳、肺に多く認められた。rAGSはマウスのfat globule membrane protein(MFGMP-E8)と90%近いホモロジーが認められた。そのMFGMP-E8蛋白は5つのドメインから構成されているが、その内の芳香族アミノ酸とプロリンに富む1つのドメインを欠いた4つのドメインによって、rAGSは構成されていた。 3.rAGS-cDNAをヒスチジンヘキサマー-融合発現ベクター系に組み込み、大腸菌において融合蛋白を大量発現させた。この融合蛋白をウサギに免疫し、抗rAGS抗体を作製した。この抗体を用いて、成熟ラット小脳でのrAGSの発現を調べた。その結果、rAGSはプルキンエ細胞層に局在していることが明らかとなった。プルキンエ細胞層はO-アセチル-LD1が特異的に発現していることをわれわれはすでに報告している。したがって、rAGS蛋白の発現とO-アセチル-ジアシルガングリオシド発現が一致しているこおとが判明した。
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