(1)RT-PCRによって得たマウスhnRNP CタンパクcDNAをプローブとし、マウス肝臓cDNAライブラリーをスクリーニングした結果、4種類のCタンパク・アイソフォームをコードするcDNAを単離した。このうち2つは、ヒトhnRNP C1およびC2タンパク質のホモログに相当すると考えられるため、それぞれマウスhnRNP C1およびC2タンパク質とし、残る2つはヒトにはホモログが存在しないマウスhnRNP C3、C4タンパク質とした。(2)それぞれのcDNAを、ヒスチジンタグをつけた組み換えタンパクとして大腸菌において発現させ、精製したものを用いて、UVクロスリンク法によりin vitroにおける4.5S RNA_Hとの結合を検討した結果、すべてのアイソフォームが同程度の強さの結合を示した。(3)4つのCタンパクアイソフォームが、それぞれ別の遺伝子にコードされているのか、一次転写産物の選択的スプライシングによるものなのかを検討するため、hnRNP Cタンパク遺伝子のイントロンの配列をPCRによって単離したところ、2箇所のスプライシング・ドナー部位と2箇所のアクセプター部位の選択の組み合わせにより、単一のpre-mRNAが4種類のmRNAを生ずることが示唆された。また、イントロンの配列をプローブとして、マウスゲノムDNAのサザン・ハイブリダイゼーションを行った場合には単一のバンドが検出されるのに対し、プローブとしてcDNA配列の一部を用いた場合には、6-8本のバンドが検出された。従って、マウスのゲノム上には、hnRNP Cタンパクをコードする単一のアクティブな遺伝子が存在する一方で、複数のprocessed pseudogeneが存在するものと思われる。(4)精製したCタンパク質でマウスを免役し、モノクローナル抗体のスクリーニングを行なった。現在までのところ1種類のIgM抗体と2種類のIgG抗体が得られている。今後、この抗体を用いて、in vivoにおける4.5S RNA_HとhnRNP Cタンパク質の複合体の存在について検討する計画である。
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