ラット脳由来cDNAから酵母Two-Hybrid法により、プロテインキナーゼC(PKC)の制御領域に結合する蛋白質として5種類の蛋白質を得たが、その中にZnフィンガーの一種であるLIMドメインを含む蛋白質(ENH)が含まれていた。 ENHのN末端側には、細胞膜局在化を行うPDZドメインを有し、C末端側には3コピーのLIMドメインを有していた。PKCと結合する部位は、欠失変異体を用いる解析から、LIMドメインの少なくとも一つが必要であることが判明した。また、他のLIMドメインを含む蛋白質も同様に、それらのLIMドメインを介してPKCのサブタイプ特異的に結合できることが判明した。 LIMドメインを含む蛋白質群は動物の胚発生の直後に一過性に発現し、四肢発生の過程で重要な役割を演じている蛋白質であることが判明している。しかしながら、その過程におけるLIMドメインの役割は、蛋白質間相互作用に関与していると推察されていただけで、実際にどの様な役割を演じているのかは分かっていなかった。今回、LIMドメインがPKCと一般的に結合できることを明らかにしたことで、今後LIM蛋白質の機能の解明に新たな展開が期待できるようになった。
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