1. UDP-グルクロン酸転移酵素のメチルコラントレンによる転写活性化機構 ラット肝初代培養細胞にレポーター遺伝子を導入することによりメチルコラントレンで誘導されるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A6)の転写活性化機構を解析した結果、UGT1A6遺伝子の転写開始点から上流135塩基前後に薬物応答配列(GCGTG)が同定された。さらに、ゲルシフトアッセイおよびフットプリントアッセイの結果、ここにAhレセプター/Arnt複合体が結合することが判明した。 2.初代培養肝細胞で誘導されるUDP-グルクロン酸転移酵素 (1)各UGT1分子種に特異的なプライマーを用いてRT-PCRを行った結果、ラット肝ではほとんど発現しないUGT1A3が肝初代培養細胞で大幅に(約100倍)誘導されていることが分った。(2)UGT1A3遺伝子のプロモーター領域をpBluescript IIにサブクローニングしてexonuclease IIIにより段階的に欠失させた鋳型を調製し、およそ4.8kbの塩基配列を解析した。(3)得られた塩基配列からTFSEARCHプログラムにより転写調節因子の認識部位候補を検索した結果、GATA配列、HNF、USF、およびTATAボックスなどが同定された。今後はシークエンス反応の鋳型に用いた欠失体を元にCATレポーター遺伝子を作製し、UGT1A6のときと同様な手段により転写活性化に必要な領域を決定する方針である。(4)ビリルビン代謝型分子種であるUGT1A1、UGT1A2、UGT1A3、およびUGT1A5、さらにフェノール代謝型分子種であるUGT1A6のcDNAを発現ベクターpUCDSRαに連結し、これらをCOS細胞に導入して各分子種を一過的に発現させた。その結果、UGT1A1およびUGT1A6はそれぞれビリルビンおよび4-ニトロフェノールを基質としたグルクロン酸抱合活性を示したが、UGT1A3はどちらに対しても活性を持たなかった。またUGT1A3は、4-メチルウンベリフェロンおよびジギトキシンモノジギトキシドに対してもグルクロン酸抱合活性を示さなかった。
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