コネクチン(タイチン)は横紋筋に含まれる巨大な弾性タンパク質であり、サルコメア構造の形成と維持の要となっている。ニワトリ骨格筋においてコネクチンN末端部約800アミノ酸がZ線に組み込まれていることを、私たちはすでに明らかにしてきた。不明な点の多いZ線の構造を解明するため、その重要な構成成分であるコネクチンZ末端部と相互作用するタンパク質をtwo-hybrid systemにより検索した。 1 まず、7週齢ニワトリの胸筋からmRNAを調製し、二本鎖cDNA合成後にpGAD424ベクターのEcoRI部位に挿入し、two-hybrid system用プラスミドライブラリーを作製した。 2 ニワトリ胸筋コネクチンのN末端部約63kDaの範囲を標的とし、ライブラリーを検索したところ、α-アクチニンをコードする二つのクローンを得た。α-アクチニンはZ線の主要な構成成分として知られている。ELISA法によりin vivoでも両者の結合性が確認できた。この結果は、初めてコネクチンとα-アクチニンとの結合性を明瞭に示したものであり、FEBS Letters誌に掲載された(401(1997)65-67)。より詳細にZ線の構造を明らかにするために、two-hybrid systemを用いて各々の結合ドメインを調べた結果、コネクチンN末端付近に見られるリピート配列(Zリピート)のうち、Zリピート5内の26アミノ酸がα-アクチニン結合ドメインだった。一方、α-アクチニンについてはC末端部の73アミノ酸内でコネクチンと結合していることが明らかとなった。この結果は、コネクチンのZ線内での結合形態の解明第一歩として重要であり、投稿中である。 3 コネクチンmRNAを制御するタンパク質の遺伝子をクローニングするため、three-hybrid systemを検討した。いくつかのモデル系を構築したが今のところ有効に機能しておらず、さらに検討を続けている。
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