研究概要 |
酵母two-hybrid screeningによりXPAと結合するヒト蛋白質のcDNA7種類を単離した。このうち2種類はERCC1とRPAの34kDaサブユニットで、5種類は新規の蛋白質(XPA binding protein;XAB)をコードしていた。XAB1は374アミノ酸残基よりなる分子量41kDaの蛋白質で、N末端側にRanのGTP結合モチーフと非常によく似たGTP/ATP結合モチーフを持つ。またC末端側には酸性アミノ酸に富んだ領域が存在する。mRNAの発現は精巣でやや高いものの調べたかぎりではすべての組織・細胞で発現していた。XAB1は核にも存在するが、細胞質優位に存在することがわかった。組換え蛋白質を用いた試験管内結合実験やtwo-hybrid assayによりXAB1はXPAの前半部に結合することが明らかになった。また試験管内除去修復系をXAB1の大部分を除いた条件で行ってもXAB1が存在する場合と差がないこと、反応系に抗XAB1抗体を加えても阻害効果がないことから、XAB1はNER反応には直接関与しないことが示唆された。ホモロジー検索の結果、C.elegansとS.cerevisiaeで相同体(ceXAB1,scXAB1)を検出した。これらは、N末端側にGTP/ATP結合モチーフ、C末端側には酸性アミノ酸領域を持っており、ceXAB1、scXAB1ともに48%のアミノ酸(類似アミノ酸を含めると80%)がヒトXAB1と一致していた。scXAB1は出芽酵母で実際に発現しており、scXAB1欠失変異体は致死になったので増殖に必須であることがわかった。
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