ヒトSCF遺伝子導入(hSCF Tg)-SCDマウスの作製 1.新たに構築したpCDSRα-hSCF発現ベクターより全長7.4KbのSRα-hSCF導入用遺伝子を切り出し、この遺伝子をB6マウス受精卵に注入して、hSCF Tgマウス8匹を得た。 2.得られたhSCF Tgマウスの血清を用いてELISAによる可溶型hSCFの定量を行い、可溶型hSCFを発現するTgマウス3匹を得、これをfounderとした。 3.この3系統のうち、子孫への導入遺伝子の伝達が最も安定し、かつ発現する可溶型hSCF濃度が他の系統よりも高かった1系統を選びSCD化を行った結果、F3マウスでは得られたTgマウス全てがTg-SCDマウスであり、血清中には100〜150pg/mlの可溶型hSCFを発現していた。 4.得られたhSCF Tg-SCDマウスの各臓器におけるhSCFの発現をhSCFに特異的なプライマーを用いたRT-PCRによって解析した結果、肺、脾臓、肝臓、骨髄等、多臓器で認められた。また、血液組成および各組織はいずれも正常であった。 5.現在、このhSCF-Tg-SCDマウスのタンパクレベルでのhSCF(特に膜結合型hSCF)の発現をWestem blotおよびフローサイトメトリー等で調べており、さらに、ヒト培養肥満細胞の移入実験を行っている。 6.今後は、ヒト造血系細胞の移入実験を含め、hSCF Tg-SCDマウスのさらなる解析を進めるとともに、他のサイトカインおよびサイトカインレセプターTg-SCDマウスとの複合化を行い、よりヒト造血系細胞の維持に優れた実験動物モデルとしての可能性を探っていく計画である。
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