本研究では、SQUID磁束計を用いて脳磁図の計測を行い、脳内電源の性質を明らかにし、得られた知見をもとに、脳機能推定に有用な脳内電源モデルを考案し、脳内電源推定のアルゴリズムを開発することが目的である。本研究では以下のような成果が得られた。 1.体性感覚誘発反応を37チャネルSQUID磁束計を用いて測定し、その発生源を機能的MRIを用いて測定した結果と比較し調べた。その結果、機能的MRIで得られたある程度拡がりをもった活動部位は、脳磁図で求めたいくつかの潜時で発生源を重ね合わせたものに対応することがわかった。右手の親指、人差し指同時刺激した場合機能的MRIでは、その活動部位の違いが、約10mm離れて観測された。脳磁図では、電源推定における初期条件で、近接したほぼ同じ方向を向いた電源が、2個存在しているという条件を与えないと、単一ダイポールと間違えてしまうような結果が得られた。 2.小さなコイル径の高分解能SQUID磁束計を用い、ラット心磁図の測定に成功した。このSQUID磁束計はは、直径約30mmの範囲内で12チャンネル同時に磁場を測定することが出来るものであり、この磁束計を用いることにより磁場発生源が、動物による侵襲的実験と組み合せて調べられる可能性が示された。 3.α波とてんかんスパイク波を脳磁図で測定し、この電源モデルを作成した。これら2つの電源とも1個の電流双極子では表現することは出来ず、複数個の電流双極子やひろがりを持った電源で表されることがわかった。
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