土木施設の中でもとりわけ道路や鉄道などの交通走行路の分野では、車両などの運動体と動的に接触することにより損耗が激しいうえに、その管理状態が安全や環境・乗り心地などのサービス水準に直接的に影響するため、メンテナンスが特に重要である。ところが、この走行路に関するメンテナンスの工学は、従来は鉄道や道路などの部門毎にそれぞれ個別に研究され、メンテナンス全般に関する総合的理解と分析という面が必ずしも十分とはいえない状況にあった。 そこで本年度は、道路や鉄道などの計画・設計・管理・維持修繕に関して、まず研究者と実務者が情報交換・意見交換する場として研究会を設けて、走行路に関するメンテナンス工学のステート・オブ・アーツを技術・経済・経営などの種々の視点から改めて包括的にレビューし、さらにメンテナンス工学に関する今後の研究課題や検討課題について整理を行った。 具体的には以下の5点に注目して、現状、および研究課題の整理を行った。基本的には舗装、および線路保守にほぼ特化して整理を行ったが、部分的には橋梁などの構造物についても注目した。 1.走行路の「破壊」 メンテナンスの目的と「破壊」モード、「破壊」の進行メカニズムの寄与要因 2.評価と計測 走行路の状態評価方法と補修発動、メンテナンスにおける計測手法 3.補修作業とメンテナンスの経済性 補修作業の概要と機械化状況、メンテナンスの体制と修繕方式、補修作業量と費用・要員補修作業量の予測 4.メンテナンスと走行路の構造 メンテナンスを考慮した構造設計、メンテレス化の動向
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