土木建設の中でも、とりわけ道路や鉄道などの交通走行路の分野では、メンテナンスが特に重要である。それは、車両などの運動体と動的に接触するために損耗が激しい上、その管理状態が安全や環境、乗り心地などのサービス水準に直接的に影響するからである。ところが、この走行路に関するメンテナンスの工学も、従来は鉄道や道路などの部門毎にそれぞれ個別に研究され、メンテナンス全般に関する総合的理解と分析という面が必ずしも十分とはいえない状況にあった。 本研究は、交通走行路の一般的な劣化・保全システムの記述することと、望ましい走行路の構造や望ましい保全方式の評価・導出方法を見いだすことを最終目標として、高速道路を含めた幹線道路や新幹線を含めた幹線鉄道を事例にとりあげ、そこで行われているメンテナンスの全体を制度、現象、技術、作業組織、経済、経営など多面的視点からレビューし、道路・鉄道一括したメンテナンスの体系的理解と共通性の抽出、及び技術的重点研究課題の抽出を行った。その結果を1)走行路面状態指標、2)走行路の劣化特性、3)走行路の保全効果特性などの切り口から、総合的にとりまとめた。
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