研究概要 |
平成8年度は以下の2項目について検討した。 1)新規無機多孔質材料の合成と細孔径制御 a)最適合成条件及び後処理条件 ;MCM-41の最適合成条件は、pH=13.1、時間48h,温度140℃、テンプレート/Si比0.3-1.18と決定した。また、pHはMCM-41合成に最も重要な要素であり、13.1を中心とした極めて狭い領域でのみ結晶性の良い生成物が得られることを明らかにした。最適後処理条件は、pH=6.5-10.9、温度60-90℃、時間20時間以上であると決定した。 b)細孔径制御 ;C_<10>〜C_<16>をテンプレートに用いて生成物のd値を3.2〜4.3nmと変化できた。しかし、MCM-41合成時に有機物を添加し細孔径の制御(5〜10nm)を試みたが、その効果は確認できなかった。 2)微粒子を担持した無機多孔体の作製とその物性評価 a)担体の細孔径とバンドギャップ ;細孔径の異なる無機多孔体にFe_2O_3を担持した試料を作製した。各試料のUV-VISスペクトルから算出したバンドギャップエネルギー(E_g)と細孔径の関係は、理論式から予想される結果と良く一致していたことから、担持されたFe_2O_3超微粒子の粒径が担体の細孔径により制御された結果、Fe_2O_3のE_gが量子サイズ効果により変化したためと考えられる。なお、Fe_2O_3の担持状態はTEMにより確認した。 b)種々の酸化物担持試料の光特性 ;種々の半導体酸化物をMCM-41に担持した試料を作製し、UV-VISスペクトルからE_gを求めた。その結果、得られた担持試料のE_gは酸化物の種類によらずほぼ4.1-4.8eVとほぼ一定であった。この結果はバルクのE_gが小さい試料ほど電子及び正孔の有効質量が小さくなり、量子サイズ効果が顕著に現れるためと考えられる。
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