研究概要 |
1)新しいメソ多孔体の合成と応用(阿部、田中) バナジウムーリン酸化物(VP):VPの最適合成条件の検討から、合成溶液のpHが生成物の構造・結晶性に対して極めて重要な要素であり、pH2.4-2.7の範囲でのみヘキサゴナル相を有するVPの合成が可能なこと等を明らかにした。さらに、IR測定からVPはアモルファスなバナジウム・リン酸化物(V:P=2:1)で構成されていると結論した。 タングステン・リン酸化物(WP):WPの最適合成条件は、pH8.0-8.5、C_<12>TMA/Na_2WO_4・2H_2O=0.50、合成温度130°C、合成時間6hと決定した。IR,^<31>PMASNMR,ICP,化学分析測定から、WPの壁は欠損型Keggin構造を有するPW_<11>O^7_<39>ヘテロポリアニオンで構成されており、その組成式は〔CH_3(CH_2)_<11>N(CH_3)_3〕_6NaPW_<11>O^7_<39>と求められた。結果的にはWPはヘテロポリアニオンクラスター一界面活性剤の三次元配列した超構造体(ヘキサゴナル単位格子:a=b=3.85nm,c=1.57nm)であると結論した。 2)光機能性材料としての評価(阿部、田中) CdS担持MCM-41(細孔直径:2.1nm)のUV-VISスペクトルでは吸収端のブルーシフト(550(CdSバルク)→450nm)、2つのエキシトンピーク(425nm(E_g=2.95eV),360(3.44))が認められた。これは、担持されたCdSナノ粒子の粒径が極めて均一であることを示す(TEMで確認)。一方、上記試料を用いて水の光分解反応を行うと、水素発生量は約1時間の誘導期後、光照射時間に依存して増加した(0.43mmol g^<-1>_<CdS>h^<-1>)。光照射8時間後の担持試料はCd/M-41-12でバルクCdSの3.7倍、Pt(0.075wt%)を担持した試料では9.3倍と増大した。
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