化学反応を用いたアトムアトムリソグラフィー

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08834002
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 応募区分: 時限
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 田中 虔一 東京大学, 物性研究所, 教授 (00016718)
• 研究分担者: 大川 祐司 東京大学, 物性研究所, 助手 (40242169)
• キーワード: Cu(100)表面 / Cu(110)表面 / ナノ構造 / 自己秩序配列 / 量子ドット、量子細線 / 単結晶表面の光反応 / 表面再構成

研究概要

金属単結晶表面に化学反応を用いてナノサイズの加工や物質設計を行なうのが本研究の目的である。このような研究に先立ち我々は「表面での疑似化合物の形成」と言う新しい概念を提出してきた。この概念により表面に新しい物質系の化学を展開することが可能になった。先ず、Ag(110)表面に一次元疑似化合物である(-Ag-O-)を密に配列させたp(2x1)(-Ag-O-)/Ag(110)表面を作り、その上にCu原子を蒸着させ(-Ag-O-)+Cu→(-Cu-O-)+Ag反応を行ない、(-Cu-O-)で覆われたCu(110)表面の創成に成功した。この表面は物質としても新しい系であり、加熱により完全に同じサイズの(Cu)_6クラスターが生成し[110]方位に並ぶことを見つけた。さらに、疑似化合物の光反応を初めて見つけSTMを用いて原子スケールでの光リソグラフィーが可能であることを初めて実証した。また過去30年以上に亘る議論が行なわれてきたCu(100)表面に吸着した酸素の構造に答えを出すことに成功した。酸素原子はナノサイズのc(2x2)構造をとって表面に分散することが分かった。その原因は吸着に伴う歪みであり、表面での酸素の被覆率が大きくなると歪みを除くために表面からCu原子が抜けて(2/2x/2)R45の構造になることが示された。

研究成果

• [文献書誌] N.Takehiro: "Structure of the p(2x3)Ni(110)-N Surface Studied by Scanning Tunneling Microscopy" Phys.Rev.B. 53. 4094-4098 (1996)
• [文献書誌] Da-Ling Lu: "Gold Particles Deposited on Electrodes in Salt Solutions under Different Potentials" J.Phys.Chem.344. 1833-1837 (1996)
• [文献書誌] Da-Ling Lu: "Single Crystal Cu_2O Formation on Amorphous Carbon Electrode and Effect of Anions on the Chystal Habidt of Cu_2O Particles" J.Electrochem.Soc.143. 2105-2109 (1996)
• [文献書誌] Da-Ling Lu: "Chystallographic Habit of Gold Particles Grown on Electrodes in Acidic Solution at Different Electrode Potentials" J.Electroanal.Chem.406. 101-107 (1996)
• [文献書誌] Y.Matsumoto: "STM Studies of a Catalytically Active p(3x1)Pt-Rh(100)Alloy Surface" Surface Sci.355. 109-114 (1996)
• [文献書誌] Y.Matsumoto: "Atomic Scale Reaction Regulated in One-dimensional Channels Evidenced by STM." J.Vac.Sci.Technol. B,14. 1114-1116 (1996)
• [文献書誌] T.Fujita: "Phase Boundaries of Nanometer Scale c(2x2)-O Domains on the Cu(100)Surface" Phys.Rev.B. 54. 2167-2174 (1996)