研究概要 |
現在,CTデータとそれより作製した三次元プラスチックモデルを利用し,顎間接を含む中心咬合位を示す上下顎骨の基準有限要素モデルの作成をすすめている。様々な顎変形症者より得られたCTデータからの有限要素モデルの作製も進めている。 基準有限要素モデルよりGonionを中心に下顎骨体部を5度づつ15度,時計回りと反時計回りに回転させた6モデルを作製し,下顎角の変化と顎関節との関連についての生体力学的検討も始めている。 各モデルで咬合平面と側頭骨上端を拘束し,咬筋を想定したGonionから頬骨下稜と内側翼突筋を想定したGonionから上顎結筋上方に向かう各10kgの荷重と,側頭筋を想定した筋突起先端から側頭窩に向かう10kgの荷重を与えた。各モデルにおいて,顎関節に対して咬合平面の角度が変わるとき,顎関節に生ずる応力も変化を示した。 すなわち,下顎角の増大に伴い,顎関節での応力値は増大を示し,顎運動に伴い生ずる顎関節の応力は顎変形症者と正常咬合者とでは異なっていることが示唆された。 今後,さらに様々な拘束条件や荷重条件の設定について検討を進め,また。様々な顎変形の有限要素モデルについても検討を加えることで,信頼度の高いシミレーション結果を求めるとともに,様々な顎変形に対応できるシミレーションモデルの確立を進める。
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