研究課題/領域番号 |
08835002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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応募区分 | 時限 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (00125501)
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研究分担者 |
藤原 竹彦 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助手 (70238632)
岩田 錬 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助教授 (60143038)
山田 進 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70182532)
渡辺 誠 東北大学, 歯学部, 教授 (80091768)
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キーワード | ポジトロン断層法 / 咀嚼 / 脳血流 / ニコチン / 脳賦活 / 脳機能 |
研究概要 |
咀嚼運動を単なる食物摂取の一過程と捉えるのでなく、脳を中心として身体全体に影響を及ぼす行為であるとの仮説、これは、文字通り、年齢を歯で評価できるとの観察で先人により示されているものであるが、これを先端画像診断技術であるポジトロン断層法(PET)を用いて解明するのが本研究の目的である。本研究では、まずPETを用いての脳血流定量モデルの開発を企画した。特に、脳血流の絶対測定には、動脈採血を必要とするのであるが、健康人を対象とした研究では、避けることが望ましい。そこで、放射性トレーサーである^<15>O標識水の脳内挙動から動脈採血を省略できる定量モデルが成立することを見いだし、そのための定量法を確立し報告した。また、誤差論についても明らかにした(渡部他、J.Cerebral Blood Flow Metabol 15)。更に、本方法を用いて脳高次機能の画像評価を行い報告した(田代他、JInt Soc Life Informat Sci 14)。PETを用いて咀嚼筋を含め、全身筋運動の評価が可能であることを見いだし、報告した(藤本他、Lancet348)。次に、ガム咀嚼を対象として、脳血流変化を指標として、咀嚼に伴う脳血流の変化を定量した。本研究では、無味ガムの咀嚼、ニコチン含有ガムの咀嚼を11人の健康被験者について行った結果、ガム咀嚼において両側運動感覚野における局所血流の上昇を確認できた(佐藤亨至他、日本矯正歯科学会雑誌55)。絶対脳血流の変化を測定するため、被験者に肘動脈採血を行い定量した結果、運動感覚野の血流上昇のみでなく、大脳全体の血流上昇を惹起していることを見いだした。このように、咀嚼行為が脳全体的な賦活効果があることから、老化に伴う脳機能の低下に対して、咀嚼力の強化が好ましい影響を与えると考えられた。
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