研究課題/領域番号 |
08835009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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応募区分 | 時限 |
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
小野塚 実 岐阜大学, 医学部, 講師 (90084780)
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研究分担者 |
西山 勝弘 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20084783)
長崎 幸雄 岐阜大学, 医学部, 助手 (50021457)
渡邊 和子 岐阜大学, 医学部, 講師 (40158621)
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キーワード | 老化 / 加齢 / 咀嚼 / FGF / 遺伝子 / 脳 / SAM |
研究概要 |
老化促進モデル動物であるSAM (senescence-accelerated mice)を用い、脳内において満腹作用物質として考えられているacidic fibroblast growth factor (aFGF)が、咀嚼の量的・質的差異(例えば、歯牙の欠損による老人の咀嚼や軟食化による咀嚼の頻度や強度の減少など今日多岐に変化している咀嚼動態)によって脳の発達や機能にどのようにフィードバックされるかを明らかにすることを目的とし、本研究を遂行した。 実験は、固形食と粉食を一定期間与えたマウスの全脳から常法に従いtotal RNAを調製し、逆転写反応(reverse transcription,RT)を行った後、aFGFに対する20-mer前後のprimer setを用いてpolymerase chain reaction (PCR)の実験を行い、得られたデータから食物摂取による脳内でのaFGF成分と咀嚼運動の質的・量的相違に関連する成分を分離した。その結果、aFGFの発現量は固形食を与えた動物と粉食を与えた動物間に有意差が認められなかった。有意な質的差違もなかった。 このことを更に追究するためにFGF抗体を用いた免疫組織化学的検索を行った。FGFは視床下部の食中枢に相当する領域に陽性反応が認められたが、固形食と粉食を与えた両動物群でimmunoreactivityの差違は見られなかった。したがって、aFGFの遺伝子発現には食物の硬度の程度によって影響をうける可能性が少ないことが示唆された。また、齧歯類では、切歯を絶えず研磨する習性があり、この研磨という機械的感覚入力は固形食をかみ砕く時の感覚入力をはるかに増さり、食物の硬度差はこの中に含有していることも考えられる。したがって、今後は、咀嚼による他の脳内遺伝子の変化に注目し、c-fos mapping法を用いた研究を展開していく予定である。
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