研究概要 |
本研究の目的は、咬合機能と下顎頭骨密度との関連性について明らかにすることである。このうち本年度は、X線CTを用いて、健常男女の下顎頭骨密度の測定を行い、加齢変化の評価を行った。 対象としたのは全身に代謝性骨疾患などの異常が無く、顎関節にも自覚的、他覚的に異常が見られない、健常ボランティア男性114名(5〜85才)、女性96名(5〜82才)である。これらの対象について、我々が開発したQCT法を用いて下顎頭海綿骨及び、第3腰椎海綿骨骨密度を求めた。 統計解析の結果、下顎頭海綿骨骨密度は、男性では20代以降加齢とともに有意に減少した(r=-0.47,p<0.0001)。女性では、下顎頭海綿骨骨密度は、閉経前においては有意な減少を示さないが、閉経後は有意に減少していた(r=0.35,p<0.05)。これらの変化は男女とも、腰椎海綿骨骨密度と同様の変化であった。また男女とも下顎頭海綿骨骨密度と腰椎海綿骨骨密度との間には中等度以上の相関が見られた(男性:r=0.58,p<0.0001、女性:r=0.78,p<0.0001)。 以上より、下顎頭海綿骨骨密度は腰椎と同様の全身的な影響を受けて変化することが明らかになった。平成9年度はさらに咬合機能という局所の要因が下顎頭骨密度にどのように影響するか検討する。
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