本研究は、光化学系「タンパク質遺伝子の発現制御における核と葉緑体間のシグナル伝達の分子機構を明らかにすることを目指したものである。平成9年度は、in vitro転写系を用いた転写制御メカニズムに関する研究と核コードの転写制御因子であるシグマ因子の解析を行った。 1)光化学系「のD2タンパク質をコードするpsbD遺伝子の転写がサーカディアンリズムにより特異的に制御されていることを明らかにした。また、in vitro転写によるプロモーター解析から光による転写誘導と同様に、psbDプロモーターがバクテリア型の-35配列を欠くことが、リズムにおける転写応答においても重要であることを明らかにした。 2)葉緑体の発達・分化にともなって多くの葉緑体プロモーターの活性が低下するが、psbDとpsbAプロモーターの活性のみが高いレベルに維持されることを見いだし、in vitroでのプロモーター解析から、特殊なコアプロモーター構造を持つことを明らかにした。 3)コムギ葉緑体シグマ因子をクローニングし、その発現が光やサーカディアンリズムにより制御されることを明らかにした。
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