研究概要 |
・具体的,かつ自然な物語文章を資料として解析を進めるための基礎として,物語文章のテキストベースの構築とテキストベースからの情報抽出ツールの開発を昨年に引き続いて行った.具体的には,教育出版(株)発行の1年生から6年生までの小学校の国語の教科書のすべての文章を,文章の書類,文章の構造などに関する情報を付加した形で構築したテキストベースの整備と文章骨組み抽出ツールなどの文章の基本的な構造を抽出するツールの開発を行った. ・物語文章における文脈と知識情報の統合的な処理方式について,主として,物語文章における登場人物の理解のための基本的なしくみについて考察を進めた.まず,物語文章における登場人物の現われ方について検討した上で,物語文章中の主観的文,客観的文,会話文における視点と登場人物の基本的な役割について考察し,登場人物の理解に関する基本的な項目を整理し,小学国語文章問題における登場人物に関する質問の解決過程で利用される文脈と知識情報の利用のしくみについて,具体的な例に即して考察した.次に,小学校1,2年生の国語教科書中の物語文章中に現れる会話文の調査に基づいて,会話文の解析のための基礎的な考察をまとめた.会話文は,物語文章中で,物語の登場人物が話したり思ったりすることを直接表現するためにしばしば用いられる「」で括られた単位である.会話文とそれに隣接する地の文章との間の構文的な関連のパターンの分類と会話文を会話文枠組みへまとめてゆくための骨組み的な手続きについて検討した.さらに,具体的に動くシステムとして,表層的な手がかりのみを利用した小学校低学年を対象とした国語文章問題の解決システムの構成について検討した.
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