本研究は2年連続のものである。初年度に当たる本年度は本研究に関わる文献研究とpilotstudy(予備研究)を行った。文献研究の一環として、これまで発表された日本語と英語に関するcontrastive rhetoricの分野の論文を収集して、内容を相互に詳細に検討した。その一部はフィンランドでおこなわれた第11回World Congress of Applied Linguisticsにおいて"Contrastive Rhetoric : Japanese and English"と題して発表した。また、一部の考察は英語教育雑誌に発表した。 本年度行ったpilot studyの概要は次の通りである。 (1)Argumentative essay 「あなたは死刑について賛成ですか、反対ですか、自分の考えを書きなさい。」というタイトルのもと、日本人大学生に英語と日本語で作文を書かせた。現在、得られたサンプルの分析をしているところであり、妥当な分析の観点・手法を検討中である。 (2)Counter-argument essay 「たばこの喫煙権を主張する文章」および「麻原彰晃を擁護する文章」に対する反論を日本人大学生に英語で書かせた。このサンプルの分析の結果から、"Teaching Japanese College Students how to write a counter-argument"という論文を書き上げ、学術雑誌に発表準備中である。 さらに、アメリカミネソタ州立大学にargumentativeとcounter-argumentativeのsampleの収集を依頼し、それが送られ来るのを待っている段階である。今後は、アメリカ人の書いた作文を分析する事で、日本人の英語学習者の書く英文と比較し、その差異を検討する事により得られる知見から、日本での英語教育への応用を考察していく予定である。
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