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1996 年度 実績報告書

関連性理論と音声言語科学を統合した対話理解モデル

研究課題

研究課題/領域番号 08837019
研究種目

基盤研究(C)

応募区分時限
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

西山 佑司  慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (90051747)

研究分担者 須藤 路子  順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教授 (60226587)
岡田 光弘  慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30224025)
キーワード関連性理論 / 発話行為 / 疑問文 / 終助詞 / 音響特性 / ピッチカーブ / 母音持続時間 / 手続き的意味
研究概要

本研究の目的は、対話の意味理解もしくは意味解釈のモデルと、言語学的、論理学的、音声言語科学的手法を統合して構成することにあった。
西山は、生成文法論理のアプローチを発展させながらも、その意味能力と語用論的能力の接点にかかわる問題を関連性理論の立場から研究した。とくに日本語のある種の構文(例えば、変化文やその変種である「増える」構文、さらには疑問文)に注目し、その種の構文の多様な意味解釈のうち、どこまでが意味論的なものであり、どこからが語用論的なものであるかを明らかにしようと試みた。その種の構文の解釈にとって、聞き手が、名詞句の指示性・非指示性を判断し、文脈に隠されている変項名詞句を復元することが不可欠であるが、その際、聞き手は、関連性の原理に基づき、この作業を行っていることを具体例で明らかにした。
対話文を理解するモデルを開発するためには、文の形式から得られる情報をより明示的に表す必要がある。岡田は、文の論理的意味論に可能世界モデルの考え方を導入して、高階内包論理の知識表現により、文の論理形式を明示する方法を研究した。対話理解においては、概念的意味(conceptual meaning)のみならず、それとは異質の手続き的意味(procedural meaning)の把握が重要であるとされるが、可能世界モデルによって、後者の側面がどこまで捉えることができるかが、残された問題となった。
対話の意味解釈にとって、重要な情報のひとつに対話時の音声情報がある。これは、文の論理形式とコンテクスト情報の中間に位置する情報であろうが、その正確な位置づけは微妙である。須藤は日本語の終助詞「か」の多様な解釈の分類を試み、それらの解釈とこの助詞の音響特性との間に顕著な関係があることを実験的に証明した。この音響特性が対話におけるコンテクスト情報といかに関わるかを解明することが、次年度の課題である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 西山佑司: "「Aが増える」構文と変項名詞句" 慶応義塾大学言語文化研究所紀要. 28. 49-85 (1996)

  • [文献書誌] 岡田光弘: "Phase Semantics for Higher Order Completeness,Cut-Elimination & Normaligation Proofs" Electronic Notes of Theoretical Computer Science. 3. 1-22 (1996)

  • [文献書誌] 岡田光弘: "フッサールの形式論理学分析における「多様体」概念の役割" 哲学. 101. (1997)

  • [文献書誌] 須藤路子: "終助詞「か」の文脈依存的意味解釈と音響特性" 第10回日本音声学会全国大会予稿集. 47-52 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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