研究概要 |
1.日常の言語場面における談話のまとまり(質問・要求・あいさつなど)が言語行動として実現される際,どのような「構え」のもとに生成され受容されるかについて,言語行動論・社会言語学の枠組みで調査・検討することを目的として,次の研究を進めた。 (1)従来蓄積した敬語・待遇表現に関する談話資料(2度にわたる愛知県岡崎市での敬語調査の場面意識調査の反応資料,学校生活における敬語使用の調査資料,京都・熊本等の地域社会での待遇表現調査資料を中心とする)を対象として,これまでの属性論・場面論的な視点に加えて,言語行動の構成要素(D.Hymesなど)に及ぶ「構え」の諸面を再構成する視点から検討を加えた。 (2)前項の検討をふまえ,「構え」の変容に対応した言語行動の変容の可能性について,インフォマントに対する臨地調査を次9年度に実施することを目指し,本8年度には愛知県岡崎市において準備調査を実施した。 (3)臨地調査データより長い談話テクストとして,テレビドラマのシナリオを対象にした前項と同様の検討と分析を並行して進めた。具体的には従来蓄積した「刑事コロンボ」(計20作品),「中学生日記」(計15作品)などのテクストを対象とした。 2.初年度の検討の中間的なまとめとして,問題の所在,注目する言語事象(とくにメタ言語行動表現)の本研究における位置付けなどについて,雑誌論文を執筆・公表した(裏面11項参照)。
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