研究概要 |
平成8年度研究実施計画に基づいて研究を進めてきた. (1)飼育環境がSAMマウスの免疫能及び老化病態発症に及ぼす影響:通常環境下SAMの抗体産生能が低いことは重ねて報告してきたが,これが遺伝的(先天的)に固定されたものであるのか或いはバクテリア侵襲などの"免疫ストレス"の結果(あるいは連動)であるのかは重要な課題である.SPF環境下でのSAMマウスの応答は正常値であったことから後者といえる.また,このマウスを通常環境に移行して1ヶ月後では正常応答で,5ヶ月後には低応答を示したことから,SAMの低応答能が単なる細菌感染の急性変化では無く,長期に亘って生理状態に"刻印"されたものといえる.これが,授乳によって"刻印"されたものではないことは既に報告した.また、老化病態の一つである老化アミロイドーシスはSPF環境下で著しく軽減され,個体全体の老化度評点も有意に軽減された. (2)免疫能低下に関わる遺伝子(群)の特定:B10.BRとの交雑実験から関連遺伝子の一つは第7染色体動原体方向,Gpi-1に近いことを報告したが,より動原体に近い内因性ウイルスAkv-1プローブで解析したところ,関連遺伝子はAkv-1か或いはこれと接近している断定された.マイクロサテライト法による更なる追究は,残念乍SAM,B10.BRマウス間でAkv-1近傍を特定できるマーカーが見つからず,達成されていない. (3)免疫能の低下と老化病態との関連について:SAMとB10.BRとの交雑マウスを作成し,2ヶ月齢時での免疫能を調べつつ進行中である.
|