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若齢(5週齢)、老齢(100週齢)ラット心内膜内皮細胞(EECs)の培養法を確立し、EECsの各種機能の加齢変化について検討した。さらにEECの生理的意義は主にブタEECsと同種血管内皮細胞(VECs)とを比較し検討した。
1.ラットEECsの単離/培養法の確立:コラ-ゲナーゼ処理によりEECsを単離し、I型collagen被膜培養dish上で継代培養を行った。
2.加齢の影響:(1)形態機能:ラットEECsはVECsと同様に形態的特色として単層敷石状構造を、機能的特色としてDiI-Ac-LDLの取り込み活性を認めた。増殖能、遊走能共に加齢と共に低下する傾向を示した。(2)生理的機能の検討:プロスタサイクリン(PGI_2)産生能は加齢と共に低下した。圧負荷によりY-EECsのPGI_2産生能は増加するものの、O-EECsではその増加は認められなかった。
3.生理的意義の検討:(1)EECsの成長速度はVECsより速く、(2)EECsの血小板凝集抑制作用はVECsより強く、その作用は主にPGI_2産生亢進に起因した。(3)PGI_2産生能の強さは左心室EECs>右心室EECs>肺動脈ECs>冠動脈ECs=大動脈ECsの順である事が見い出された。
(4)圧負荷によりEECsではPGI_2産生能の増加とNO産生能の減少が認められた。
心内膜内皮細胞の生理的意義は未だ不明である。しかしEECsのPGI_2産生能は加齢により低下すること、EECsはVECsに比べPGI_2産生能/血小板凝集抑制作用が高いこと等から、EECsの心機能への影響は否定できず、加齢による心内膜内皮細胞の機能低下は心機能不全を引き起こす可能性が示唆された。心内膜内皮細胞の生理的意義を解明するには、拍動心臓の心内膜剥離方法を開発することが急務である。
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