研究概要 |
急速に高齢化社会が進行している今日、骨粗鬆症患者の急激な増加が予想される。従って、骨粗鬆症の成因を明らかにする研究が急がれるとともに、この疾患の効果的な予防法および治療法を早急に確立する必要がある。骨粗鬆症治療薬としていくつかの薬物が臨床使用されているが、これらはいずれも骨吸収抑制薬であり、骨量の増加は期待できないため、骨量増加作用のある新しい治療薬の開発が望まれている。我々は、すでにキサンチン骨格を修飾することにより、cyclic AMP-phosphodiesterase (PDE IV)に対する選択的阻害作用を誘導できることを示しているが、本研究課題において、キサンチン誘導体と既存のPDE阻害剤の骨関連細胞の分化と活性に対する効果、骨粗鬆症モデル動物に対する効果を検討したところ、キサンチン誘導体を含むPDE IV阻害剤のみが1)in vitro骨髄培養系において骨芽細胞を活性化して化骨形成を促進させ、破骨細胞の形成を抑御すること、2)in vivoにおいてはWalker256/S担癌動物、座骨神経切除動物、卵巣摘出動物などの骨粗鬆症モデルに対して経口投与によって骨密度の減少を有意に抑制することを明らかにした。このような作用は他のPDEイソ酵素(PDE III,PDE V)阻害剤では認められないことも明らかにした。PDE IV阻害剤のこのような骨代謝に及ぼす作用は、従来全く報告のない新しい作用でもある。さらに、新規なPDE IV阻害剤の開発に成功し、これらも既存のPDE IV阻害剤と同様な効果を示すことを明らかにしている。(特許申請中)。
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