マクロファージ(Mφ)や樹状細胞から産生されるIL-12は、細胞性免疫応答を担うTh1細胞への分化誘導に決定的な役割を果たしている。本年度は、T細胞非依存性に誘導されるIL-12産生応答の調節機構を種々のマウス系統を用いて解析し、次の結果を得た。1)主要組織適合性複合体遺伝子(MHC)コンジェニックマウス系統の脾細胞をLPSとIFN-γで刺激して誘導されるIL-12産生には明らかな系統差が存在する事、また系統差はnon-MHCに連鎖する事が示された。2)高産生と低産生マウス脾細胞を等量混合した場合のIL-12産生は著明に抑制された。IL-12産生抑制物質としてIL-6やIL-10が知られているので、抗IL-6抗体或は抗IL-10抗体存在下に低産生マウス脾細胞をLPS+IFN-γで刺激したところ、抗IL-10抗体の添加により高産生マウスレベルにまでIL-12産生が増強された。3)種々のマウス系統のIL-10産生能を調べた結果、IL-12低産生マウスでは高産生マウスに比べ高レベルのIL-10がLPS単独刺激により誘導されるがIFN-γ単独刺激では全く誘導されない事、またIL-10はMφ画分から主として産生される事が明らかとなった。4)IL-12低産生マウスではIL-12ヘテロダイマーの構成分子であるp35及びp40 mRNAの発現が共に抑制されていたが、抗IL-10抗体の添加により両mRNAの発現は著明に増強された。5)興味深いことに、LPSとIFN-γの同時刺激に対してIL-12高産生のマウス脾細胞をLPSで刺激した後にIFN-γで刺激した場合にはIL-12産生は低レベルになる事、一方IL-12低産生マウス脾細胞をIFN-γで先行刺激した後にLPS刺激を行った場合には高レベルのIL-12産生が誘導されるようになった。以上の結果から、LPS+IFN-γ刺激によるIL-12産生応答に於てMφ画分から分泌されるIL-10がIL-12産生のマグニチュードに多大な影響を及ぼしている事、またIL-12産生でのマウス系統差はLPS刺激で惹起されるIL-10産生と密接に関連し、non-MHCにより支配されている事が示された。
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