研究概要 |
我々は、抗IgM抗体やIL-4の刺激によっては、B細胞でFasの発現は誘導されないが、CD40からのシグナルによってFasの発現が強く誘導されることを見出した。さらに、B細胞のFasによるアポトーシスに対する感受性が、CD40架橋により増強され、抗IgM抗体処理により低下することも見出した。マウス脾臓B細胞を用いてCD40Lで刺激後に、HCP,RIP,PADD及びICEなどのFasによる細胞死に密接に関わっている遺伝子の発現を調べたが、これらの遺伝子の発現とFasに対する感受性の間に相関が見られなかった。また、CD40架橋によってbcl-2,bcd-XL,及びbaxの発現もほとんど変化しなかった。一方、抗IgM抗体処理によって、bcl-2とbaxの発現は変化しないが、bcl-XLの発現が強く誘導されることを見出した。bcl-XLの発現誘導が、抗原存在下でのB細胞のFas耐性に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。CD40Lで活性化されたB細胞由来のcDNAライブラリーをビオチン化した無刺激脾臓B細胞由来のpoly A^+RNAを用いてsubtractionを行い、スクリーニングした結果、587アミノ酸のopen reading frameをもつ新しい遺伝子を単離した。得られた遺伝子のC末にはDNA結合ドメインと思われる15個のzinc fingerモチーフをもち、N末には酸性アミノ酸に富んだ、転写活性化ドメインに特徴的な構造をもっている。さらにCD40L はCD40LとのIgMで強く誘導される2種類の新規遺伝子のクローニングに成功した。現在、これら遺伝子のB細胞の活性化、Fasの発現誘導及びFasによるアポトーシス、そして記憶B細胞の生成における役割を解明するために研究を進めている。
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