研究概要 |
1.生体内IgE産生とNK1.1+T細胞の相互間系:生体内にTh2細胞を誘導し、IgE産生を誘導する線虫感染(Nb:Nippostrongylus brasiliensis)、逆にTh1細胞を誘導する細菌感染(P.acnes,BCG)を用いて以下のことを明らかにした. (1)Nb感染では脾、肝内リンパ球に存在するNK1.1+T細胞の発現には何ら影響せず、NK1.1+T細胞を刺激してprimary IL-4を産生し、Th2細胞(IgE産生)が誘導された. (2)P.acnes,BCG感染では、脾、肝内NK1.1+T細胞が減少することを見い出した.P.acnes,BCGの代わりにIL-12を投与してもNK1.1+T細胞が減少すること、又、P.acnes,BCGと共に抗IL-12抗体を投与するとNK1.1+T細胞の減少が回避されることから、P.acnes,BCG感染によるNK1.1+T細胞の減少はマクロファージ由来IL-12によることが明らかになった. 2.SJLマウスにおける低IgE応答性の解析:SJLマウスにおける低IgE応答性にIL-12が関与していることを以下の如く明らかにした. (1)SJLマウスにおいてはマクロファージ由来のIL-12産生が亢進していることが明らかになった.このIL-12によってNK1.1+T細胞が減少し、その結果Th2細胞が誘導されないと考えられた. (2)in vitroにおいてもSJL脾細胞はIL-4+LPS刺激でもIgE産生を誘導しなかった.しかし、これに抗IL-12抗体を添加するとIgE産生が見られ、更に抗IL-18抗体を添加するとその産生は増加した. 3.IL-18の抗アレルギー作用: (1)IL-12単独刺激ではB細胞はIFN-γを産生しないが、IL-12とIL-18で刺激されたB細胞はIFN-γを産生するといった、全く新しい発現が得られた.このB細胞由来IFN-γはIgE産生を抑制した. (2)生体内でIgE産生を誘導するNb感染を用いても、IL-12+IL-18の生体内投与でIgE産生は完全に抑制された.
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