CD特異的NK1.1陽性CD4陽性T細胞とIGIFによる生体内IgE産生誘導機構の解析

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08839022
• 研究機関: 兵庫医科大学
• 研究代表者: 善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60241171)
• 研究分担者: 岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60111043) ; 中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
• キーワード: NK1.1陽性T細胞 / サイトカイン / IL-18 / アレルギー / IgE産生

研究概要

研究代表者が発見した、ナイーブT細胞をTh2型細胞に分化するのに必要なIL-4(primary IL-4)の産生細胞である、脾細胞中に存在するCD4陽性NK1.1陽性T細胞と、共同研究者岡村によって発見された新しいサイトカインIGIF(IL-18)を中心に、IgE産生調節機構をマウスを用いて研究してきた.その結果、平成9年度に以下のことを明かにした.
1.SJLマウスにおける低IgE応答性の解析:SJLマウスにおける低IgE応答性にIL-12及びIL-18が関与していることを以下の如く明らかにした.
(1)SJLマウスにおいてはマクロファージ由来のIL-12産生が亢進していることが明らかになった.
(2)in vitroにおいて、SJL脾細胞はIL-4+LPS刺激によってもIgE産生を誘導しなかった.この理由として、SJLマウスのB細胞画分にはCD3intIL-2Rβ+のユニークな細胞が存在し、マクロファージ由来のIL-12によって刺激されると、IFNγ産生、Fasリガンド発現が誘導され、IgE産生が抑制されることを明らかにした.
3.IL-18の抗アレルギー作用:
(1)IL-12単独刺激ではB細胞はIFN-γを産生しないが、IL-12とIL-18で刺激されたB細胞はIFN-γを産生した.このB細胞由来IFN-γはIgE産生を抑制した.
(2)IL-12とIL-18の相乗作用の機序であるが、IL-12刺激にて細胞表面上IL-18レセプターを発現増強し、これによってIL-18に対する応答性を獲得させることが明かとなった.
(3)マウス同様、ヒトT細胞、B細胞に対してもヒトIL-12+IL-18によってFN-γの産生誘導が認められた.

研究成果

• [文献書誌] Yoshimoto, T.: "Interleukin-18 (IL-18) together with IL-12 inhibits IgE production by induction of IFNγ production from activated B cells." Proc. Natl. Acad. Sci. USA.94. 3948-3943 (1997)
• [文献書誌] Matsui, K.: "Propionibacterium acnes treatment diminishes CD4^+ NK1.1^+ T cells but induces Type 1 T cells in the liver by induction of IL-12 and IL-18." J. Immunol.159. 97-106 (1997)
• [文献書誌] Takeda, K.: "Defective NK cell activity and Th1 response in IL-18-deficient mice." Immunity.(In press). (1998)
• [文献書誌] Yoshimoto, T.: "LPS-stimulated SJL macrophages produce IL-12 and IL-18 that inhibit IgE production in vitro by induction of IFN-γ production from CD3^<int> IL-2R β^+ T cells." J. Immunol.(In press). (1998)
• [文献書誌] 善本知広: "IL-4,サイトカイン2版(笠倉新平 編)" 日本医学館, 14 (1997)
• [文献書誌] 善本知広: "CD4+NK1.1+T細胞によるTh2細胞の誘導.免疫,1996-97" 中山書店(岸本忠三、 編), 14 (1996)