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1996 年度 実績報告書

日本における外国人労働者の地域的分布の分析-地域社会の浸透形態の類型化のための予備的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08871022
研究機関上智大学

研究代表者

小井土 彰宏  上智大学, 外国語学部, 助教授 (60250396)

キーワード外国人労働者 / 地域的分布 / 地域的集住 / エスニシティー / 国際移民
研究概要

本年度は、日本における外国人労働者に関する既存資料を網羅的に収集し、整理・分析した。また、これに加えて、移民現象を空間的に分析する方法を論じた日本語・外国語文献を収集し、日本における外国人の地理的分布形態について、理論的にまた国際比較の視点から考察する予備作業を行った。これらの作業をとうして以下のような中間的結論が引き出された。外国人労働者の急激な拡大位相が終焉する一方で、国内的な移動あるいは地域的な分布の変動が徐徐に進行しつつある。一貫して首都圏、特に東京都へのニューカマ-外国人の集中は持続しているが、その一方で着実に外国人の地方分散が進行していることが統計的に裏付けられる。しかし、それは単純な拡散ではなく、異なった質をもった外国人集団が、特定の地域に引き付けられ、特徴的な地域社会との関係を形成しつつある。例えば、ブラジル系日系人たちは、神奈川県川崎市、群馬県大田市、愛知県豊田市といった代表的工業地帯に集中する傾向がある。彼らは、合法的地位を利用して大企業を含む製造業のより有利な労働市場に浸透しつつ、母国の日系コミュニティとの強い結びつきを維持し、二国にまたがるトランスナショナルなコミュニティを形成しつつある。これと対照的に中国人たちは、サービス業を中心として浸透し都心に地歩を築きつつあり、また華橋のアジアからアメリカにまたがる国際的なネットワークの上で柔軟な上昇戦略を展開している。
このように、外国人の地域への浸透の実相は実に多様なタイプをもっている。本研究は、地域の経済構造、コミュニティの編成、エスニック集団の相互作用を分析する地域的編入様式(regional mode of incorporation)という概念の導入により、地域的な多様性の分析をさらに進めていく。1998年度は、北関東(群馬、茨城を)中心に現地調査を行い、実証的分析を行うことを予定している。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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