研究概要 |
1996年度は、山形県村山市と岩手県藤沢町に出張し、明治-昭和戦前期の東北農村・農民の疾病・死因記録の収集と所在調査をおこなった。村山市では旧行制村の明治17-30年の「埋葬許可証台帳」、同17-20年の「出生記録」、同21-24年の「乳児死亡記録」を発見したのでこれを撮影することとし、5本のマイクロフィルムに収めた。 また、今年度は明治17[但し7-12月]-20年分の史料について解読作業をおこない、出生、死亡、乳児死亡データベースを構築した。レコード数は、出生(男子227、女子230)、死亡(154,154)、乳児死亡(計64)であった。なお、原史料は草書崩しの筆書きで作成されており、たびたび様式変更もなされていた。また、1年分の簿冊中に3種の記録が別タイトルを付して綴じ込まれ等していたため、解読とデータ入力には多大の時間と労力を要した。そのため、上記データは以後時期ののデータに含め、最終年度に纏めて分析することとした。 ちなみに、病名は明治16年6月25日「内務省衛生局より各府県へ通報」の「死亡者病類細目要領」(第1-11類)[『法規分類大全』(衛生門)]に基づき、合計122種の疾病のいずれかに分類の上、台帳に記載されているので、われわれは明治17以降約65年間の近代化過程のなかで、東北農村の疾病構造の特徴を全国のそれと比較対照することができるだろう。 藤沢町では、旧行制村文書中に埋葬認許証綴りがないか否か、役場庶務課の協力をえて調査した。この行制村は昭和30年3月末に廃止され、文書は現町役場に移管されたのか、昭和8,12,17-18年、及び30年までの数冊を発見したのみである。なお、この村の戸籍受付簿、生死婚姻調べなど関連文書は、来年度計画の別の行制村資料調査の際に再見する予定である。
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