1997年度の目的は、1995年、1996年にアルバニアのチラナにある国立公文書局で、オスマン朝末期に海外において改革活動を行っていたイブラヒム=テモに関する史料調査を行った時に収集した史料によってオスマン朝末期の改革運動の海外における活動状況を考察することであった。 現在、アルバニアは政府の無力化により、混乱状態が続いており、今後の史料収集は見とうしがきかない状態にあり、今までに収集した史料の価値は高いといえる。 1997年度は、1996年度に引き続いて、収集した史料の解読にあたった。イブラヒム=テモに宛てた手紙類のほかに、パリ、ジュネ-ブの統一と進歩委員会の本部の文書もあり、機関紙「オスマンル」紙との対象も若干試みることができた。史料となるこれらの手紙および指示通告文書はアラビア文字で書かれたオスマン語であるために、史料をローマ字化する作業は困難な作業である。 1997年度には、トルコ共和国アンカラ大学歴史学科のオゼル=エルゲンチ教授の協力を受けて、史料の重要な部分について解読、ローマ字化を行うことができた。さらに、解読、ローマ字化を行わなければならない部分も残されている。 これらの課題を追求しながら、来年度はオスマン朝末期の改革運動である統一と進歩委員会の海外活動と青年トルコ人の実態を解明していきたい。
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