今年度は、まず昨年度に引き続き、雑誌Der Spiegelの日本関連記事の収集・補足を行った。特に、1990年度及び1995年度については未購入であったCDロムが入手できたので、このCDロムに内蔵されている検索ツールにより、Japanやjapanischによる検索をかけ、一部未収録であった記事も補足することができた。最終的に収録できたテクストコーパスは、今年度も補助員により点検させ、万全を期した。 Der Spiegelの記事の分析に先立ち、自作コーパスを如何に分析できるかのパイロットスタディとして、ドイツ語の味覚・臭覚表現、とくにワインに関する形容詞表現を分析してみた。これは市販のワインカタログ10年分をテクストコーパスに取り込み、そこで使用される形容詞表現の頻度などを調査したものである。そもそもワインの味覚表現は非常に難解かつ専門的であり、また当該分野の研究も少ないが、逆にその語彙には限界もあり(着目した形容詞は約120語程度)、より一般的な現象を分析するDer Spiegelの記事の分析の参考になった。今年度はまた、実際のSpiegelの記事について、その質的な分析に先立ち、定量的な調査を行った。この結果は江口(1998)に詳しく記されているが、本研究で作成されたコーパスの概要が明らかになったばかりではなく、日本報道の量的な展開についてもかなりはっきりした輪郭をつかむことができた。これを出発点に、最終年度である次年度に質的な分析作業を行う予定である。
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