今年度は、主に基礎理論研究に費やされた。すなわち、個人主義の対抗原理としての共同体原理、あるいは近代法原理に対するポスト・モダンの諸潮流についての検討を行った。前者については、とくにヘーゲルの所有理論の現代的意義に関する研究を深め(その際、C.テイラーあるいはR,ベラ-などの著書を手がかりとした)、また後者については、平成9年1月の短期のアメリカ合衆国の滞在を契機として、アメリカの近時のポスト・モダン法理論の基礎にあるポスト構造主義(とくにJ.デリタ)の考察を進めることができた。 これを設けて、民法法理の批判的再検討を続けて行う予定である。
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